三好喜美佳、1年3カ月ぶりに日本王座返り咲き!若狭与志枝にリベンジ「攻める姿勢貫いた」プロボクシングの日本女子フェザー級タイトルマッチ6回戦は14日、東京・後楽園ホールで行われ、前王者で同級3位の三好喜美佳(38=川崎新田)が激突が若狭与志枝(33=花形)に3―0で判定勝ちし、王座返り咲きを果たした。
三好喜美佳vs.若狭与志枝放送
2人は2020年11月に対戦し、その時は若狭が3―0で判定勝ちし、王座奪取に成功。今回は立場を入れ替えて1年3カ月ぶりの再戦だった。終盤はお互いに足を止めての打ち合いとなったが、ジャッジの採点は3者全員が58―56と、三好を支持。三好は「若狭選手は勢いがすごく、パンチも硬くて強かった。気持ちで負けたら負けてしまうので、チャレンジャーの気持ちで。最後は技術うんぬんではなく、気持ちだけ。攻める姿勢を貫きました」と気迫の勝利を強調した。
前回の敗戦後、1度は引退を考え、ボクシングを離れた時期もあった。だが、「自分と向き合った時にやっぱり、やりたいと思った。自分の気持ちに正直になろうと思った」と再起を決意。約4カ月の準備期間で再戦に臨んだ。前回との違いには「気持ち」と「インパクトのあるパンチを打てるようになったこと」を挙げた。
これまで東洋太平洋女子バンタム、フェザー、スーパーフェザーの3階級制覇を果たし、2度の世界挑戦もある38歳。新田渉世会長は「まだ伸びる要素は持っている」と期待する。三好は「まだまだ技術的にも全然ですし、世界と言えるような立場じゃないかもしれないけど、“自分はできる”と信じて世界を目指して頑張っていきたい」と宣言した。【ボクシング】ボディブローvs.フック&ストレートは決着つかず。三好喜美佳と藤原茜は三者三様のドロー16日、東京・後楽園ホールで行われた日本女子フェザー級タイトルマッチ6回戦は、チャンピオンの三好喜美佳(38歳=川崎新田)と1位・藤原茜(34歳=ワタナベ)が59対55(三好)、58対56(藤原)、57対57の三者三様で引き分け。三好が初防衛に成功した。文_本間 暁 写真_橋田ダワー
「やりづらかった。自分の良さを潰されました」。試合後の会見に臨んだ三好に笑顔はなかった。ポイントをリードされていると予想し、必死に追い上げを見せて辛くも追いついた形。疲労感よりも、勝ち切れなかったという思いが強かったのだろう。
2月に自身が持つ王座を取り戻した三好に対し、挑戦者は2019年10月以来の試合。藤原は、リングの感触を確かめるように、緩やかに、動きすぎずサークリングを始めた。ややもすればスローテンポとも受け取れるもの。三好はそのペースに合わせて追いかけていくリズムになった。
すると、藤原は一転してハンドスピードを速めた右フックから左をヒット。応援団の大きな拍手も相まって、強い印象を残した。
2回に入ると、三好はやや右サイドから右フックを被せていく。これがクロス気味に決まり、藤原は左を容易に打ちづらくなった。だが、じりじりとステップバックして三好に入ってこさせ、その入り際に右から左、あるいはその逆のコンビネーションを合わせていく。
すると三好は入るタイミングを変えて、ボディからの攻め落としを敢行。「(藤原の)堅いガードを敢えて叩いてリズムを作りたかった」と、顔面への連打をまとめ、上への意識を集中させて下を打った。
藤原は、三好の打ち終わり、もしくはかわして右、あるいは左フックを再三ヒットさせた。その都度起きる大きな拍手は、三好の精神を揺さぶったかもしれない。
三好との間合いを藤原がキープした──ともいえるが、三好が強引な接近戦を仕掛けなかったことも、挑戦者に幸いしたように思う。王者にはフィジカル頼りではない、しっかりとしたボクシングの確立、これが念頭にあったのだろう。
「トレーナーが新しく(笠康次郎氏に)なって、パンチを打ち抜くトレーニングを積んでいる」(新田渉世会長)そうで、その距離を保つというこだわりがあったのかもしれない。
採点は非常に難しい印象。どちらの勝ちでもおかしくなく、ドローも当然あり。三者三様になったのも納得だ。
「2度負けている(東洋太平洋王者の)藤原芽子(ふじわら・わかこ=真正)さんと戦いたい」と三好。藤原茜との再戦を問われると、「やりづらかったのでやりたくない(笑)。でも、私が東洋を取り戻したり、もっと上のカテゴリーでだったら」と、決着戦についての思いを話した。31戦16勝(6KO)13敗2分。
悔しい結果となった藤原は、顔面の防御同様、ボディブローも防げていれば、また違った結果を呼び込めただろう。無駄を削いだ足運び、三好を引きずり込んだテンポは味があった。7戦5勝(2KO)1敗1分。<プロボクシング:日本女子フェザー級タイトルマッチ6回戦>◇16日◇東京・後楽園ホール
日本女子フェザー級王者三好喜美佳(38=川崎新田)がドローで初防衛に成功した。
挑戦者の同級1位藤原茜(34=ワタナベ)に対し、プレッシャーをかけながらワンツーを軸に攻め込んだ。何度かカウンターパンチを被弾しながらも6回まで先手で攻め抜いた。ジャッジは三者三様の引き分けとなり、何とかベルトを死守した。
初防衛に成功した三好は「相手選手の引き出しの多さにやられてしまい、最後はいくしかなかった。すごくやりずらい相手で自分の良さを消されてしまった。最後まで手を出し続けることができました」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。今年2月に若狭与志枝(花形)から王座奪回して以来、約4カ月ぶりのリングだった。
次戦に向け「2回負けている。3度目のリベンジマッチして東洋太平洋王座を取って世界にいきたい」と18年7月、同12月と2度判定負けした東洋太平洋女子同級王者藤原芽子(真正)との3度目対決を希望。「また実力を上げてこのリングに立ちたい。(藤原に)勝ってから次に進みたい」と強い決意を示していた。昨年10月に52歳の若さで死去したプロボクシング元WBA世界ミニマム級王者・星野敬太郎さんの追悼興行が14日、東京・後楽園ホールで行われ、故人が現役時代に所属した花形ジムの花形進会長(75)らが故人の冥福を祈った。
横浜市出身の星野さんは1988年11月にプロデビュー。96年8月に日本ミニマム級王座獲得し、5度防衛した。00年12月にWBA世界同級王座を獲得。現役時代にWBA世界フライ級王者となった花形進会長と国内では史上初の師弟世界王者になり、話題を集めた。初防衛戦で敗れ、王座から陥落したものの、02年1月に王座返り咲き。初防衛に再び失敗し、03年6月にWBC世界同級王者ホセ・アントニオ・アギーレ(メキシコ)に敗れたのが最後の試合となった。
現役引退後は岐阜・各務原市でコパン星野敬太郎ジムを設立。後進を指導していたが、18年ごろにボクシング界を離れ、沖縄県に移り住んでいた。
セミファイナル前には追悼セレモニーが行われ、現役時代の星野さんの活躍を映像で紹介。キッズボクシングの普及に力を入れるなど育成にも定評があっただけに、師匠の花形会長は「まだまだこれからだった。選手を育てたいという気持ちもあったようなので本当に残念。長生きしていれば、次の星野を育てていたかもしれない」と愛弟子の早すぎる死を悼み、会場に鳴り響く10カウントゴングで故人に別れを告げた。